見分けが付かない三井住友カードからの「最新情報のお届けをお願いいたします」メール
またまた三井住友カードから真贋付かないメールが届きました。「最新情報のお届けをお願いいたします」という件名で中身は次の通りです。
**「年収」「お住まい」「家族構成」「運転免許証番号」**などの最新情報のお届けをお願いいたします。
おいおい、マジか。運転免許証番号をピンポイントで?
カードを作成する本人確認ならいざ知らず、最新情報? 免許証の番号が変わることはないでしょう?
この時点でダウトですよねー。
では、いつものように順番にみていきましょう。
すべてPASS
一応、SDFやDKIM、DMARCなどは全てPASSしています。
そういった点ではあからさまに目立つ怪しさはありません。だからややこしい。
送信元メールアドレス
次のボタンから問題のメール本文をご覧ください。
日本語として、または内容に関しておかしい箇所はありますか? ま、ありますよね。
問題のメール本文を見る
2023年4月現在、三井住友カードで公開されている送信元メールアドレスは次の通りです。
- @vpass.ne.jp
- @mail.vpass.ne.jp
- @contact.vpass.ne.jp
- @smbc-card.com
- @smbcgroup-point.jp
- @otp-auth.net
詳しくは三井住友カードのお知らせページで確認しましょう。
但し、気を付けたいのは、このメールアドレスは偽装できます。
今回のメールも真贋が分かりかねる表記でした。一応は@contact.vpass.ne.jp
とありました。Fromには、mail@contact.vpass.ne.jp
と表記されていました。本来、これは正しい。
では、メールヘッダーに記載されているリターンパス(Return-Path)を見てみよう。
Return-Pathは本物?
あれ、正しい?
上段が今回のメール下段が正しい(と思われる)メール。同じ様式ですね。
今回のメール:Return-Path: bounce-14_HTML-157456897-728870-7236767-13024@bounce.contact.vpass.ne.jp
正しいメール:Return-Path: bounce-14_HTML-154074987-733929-7236767-30136@bounce.contact.vpass.ne.jp
三井住友カードからのメールはメーリングリスト形式と判別されます。サーバを調べるとアメリカのセールフォース(salesforce.com)でした。
そもそも記載されているbounceってエラーメッセージで見掛けるバウンスイベントで使われる。単なる言葉だけといえばそれまでだけどね。
恐らく、送信専用だから名付けているのか、そういう仕様なのか知らない。でも、紛らわしい。
メールの種類によっては別のメールサーバもある
実は三井住友カードからのお知らせメールは他にも種類があって、例えば「支払い金額のお知らせ」などは次の通りです。
58.138.162.25 (mail325.smbc.co.jp)
当然ながらReturn-Pathも違う。
結局、大企業って外部のメールサービスを使うから、ややこしくなっていく気がする。
Receivedも同じ
ここまでは、一見するとなんでも無さそうな気がして、ついスルーしてしまいますね。
次のReceivedをみてみると、今回のメールも同じサーバから出ています。(Salesforce.com, Inc.)
今回のメール:Received: from mta10.contact.vpass.ne.jp (mta10.contact.vpass.ne.jp. [13.111.14.90])
正しいメール:Received: from mta.contact.vpass.ne.jp (mta.contact.vpass.ne.jp. [13.111.14.81])
ドメインはmta10.〜やmta3.〜などもありました。
こういった迷惑メールに慣れてくると、一見しておかしい部分が見つかるので、メールヘッダーはいつも確かめる意味でみています。明らかにおかしい箇所はすぐに見つかるからです。
しかし、今回は正しいと思われるメールのヘッダーと瓜二つです。
全く意味が分かりませんね。もしかしてどちらも偽物? うーん。
もう1つ判別する要素がある
これまでの受信経験から、真贋が付きかねるパターンもありました。
ただ、2023年4月の時点と前置きしておきますが、未だに有効な判別方法があります。
それはハンドルネームの有無です。
実は三井住友カードは自分で設定するハンドルネームがあります。本名でもなく、無機質なメールアドレスでもなく、任意で好きな言葉を設定できるんですよね。
このハンドルネームは必ずメール本文最初に「設定したニックネーム 様」と記載されてきます。
誰も考えつかないような、本人しか分からない意味の言葉を設定すれば、ここは判別のポイントになります。
ハンドルネームを設定するとき最初に思ったのが「これまで抜かれたら意味が無い」ということでした。名前もそうですけど、個人情報としてハンドルネームまで盗られたら余計に混乱しますからね。
でも、今のところはこのハンドルネームは流失していない気がします。
今回のメールには三井住友カードVISA(SMBC)会員 様とありました。私はハンドルネームを設定しているので、これはダウトでいいでしょう!!
あくまでも確認要素の1つですよ。過信は禁物です。
本文がHTMLタグ
偽物は、メール本文がメールヘッダーでみると暗号化されていないのか、HTMLタグがそのまま表示されています。
三井住友カードからの正しいメールはすべてHTMLタグはメールヘッダーにありません。
ここも1つのポイントかなと思います。ただ、これも判別要素の1つです。
気を付け方
今回のメールのように、三井住友カードからのメールで判別する要素として、ハンドルネームは必ず確認しましょう。
三井住友カードからのメールで、最低限の確認はいつもしています。
- ハンドルネームを確認する(コレ!大事)
- Return-Pathを確認する(複数の場合もある)
- IPアドレスの記載を逆引きで調べる
騙されないために最も大事なこと
利用しているサービスであっても、決してメール本文からリンクを開かないことでしょう。
本末転倒ですが、自己防衛のためにも、必ず自分で保存した正規URLからログインして確認することで防ぐことができます。
そのため、実際に利用しているサービスでも、個人的にメールサービスの配信はほぼ停止しています。クレジットカードでいえば、利用時にお知らせが来る設定のみで、あとの配信は停止です。
大企業病というか、意識高い系のサービスは、なぜかデフォルト設定が勝手にメールが送られている仕様だったりして迷惑メールとそう変わりません。有名なネットモールなども辟易しますよね。
もしくは、面倒な場合や念のために、スパムメールまで対応するセキュリティソフトを検討してはいかがでしょう。これも完璧はありませんが補助的に対策しておきましょう。何よりもリンクをクリックしないのが最も有効です。
最後にオチ
最後に種明かしとして、実は受け取ったメールは、三井住友カードに一度も登録していないメールアドレスに届きました。
はい、それだけでダウトです。
でも正直な話、今回は真贋が分かりませんでした。登録していないメールアドレス宛と、ハンドルネームが無い点はおかしいとすぐに分かります。
仮にメールが本物だとしても、メール内容に「年収」「お住まい」「家族構成」「運転免許証番号」を教えろだと眉をひそめるのもムリはありません。クレジットカードの性質上はおかしくはないのですけどね。
いや、運転免許証番号はおかしい!
皆さんも複数のメールアドレスを管理していると思いますが、何々用と分けて利用していれば、そこでも振りわけができます。面倒なことではありますが、実は気が付きやすいのでオススメです。
そして、登録メールアドレスって変更できるサービスも多いため、パスワードを変更するように年に1回くらいの頻度で登録メールアドレスも変更してしまえば、更に有効です。確かに面倒ですけどね。
ホント、やな世の中でございます。